理事長からのご挨拶

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この度、一般社団法人日本内分泌外科学会の理事長に選任されましたこと、大変光栄に存じます。日本内分泌外科学会は、私が薫陶を受けた恩師である藤本吉秀先生によって、1988年設立されました。外科、耳鼻咽喉科・頭頸部外科、泌尿器科といった複数の基盤領域が集う、非常にユニークで先鋭的なアカデミック集団です。このような素晴らしい学会の一員であり、またその発展を牽引する立場を担うことは、大きな責任であり、同時に大きな喜びでもあります。これまでの経験を生かし、各領域の先生方の知見を最大限に活かし、学会の発展に尽力する所存です。

とくに、以下の分野に注力し、学会のさらなる発展を目指していきます。

1) 若手内分泌外科医の育成
若手医師が魅力を感じる学会になるよう全力で取り組みます。内分泌外科医のステイタスを向上させ、内分泌外科の道を志す医師が増えるよう、専門医制度の改革や教育システムの強化を推進します。

2) 外科医の働き方改革を通じた幸福度の向上
働き方改革を通じて、内分泌外科学に関わる人たちの生活の質を向上させるよう努めます。多様な働き方を支援し、学会活動や研究の推進をサポートする環境を整備します。

3) National Clinical Database (NCD) の利活用推進
NCDの積極的な利用を推進し、ビッグデータを活用した診療の質向上を目指します。そのために内分泌外科領域全般のCRFを整備するとともに、広く研究計画を募集し、十分な吟味のうえで、研究を開始します。

4) 学会主導研究のための研究倫理審査体制の確立
研究倫理審査のシステムを学会内で整備し、信頼性の高い学術研究を多機関共同で進める体制を確立します。

5) 学会英文誌の創設
研究成果をグローバルに発信するためのプラットフォームを充実させ、世界的な学術交流を促進します。

6) 国際アカデミアとの連携強化
International Association of Endocrine Surgeons(IAES)やThyroid International Recommendation Online(TIRO)などとの学術連携を強化し、日本内分泌外科学のプレゼンス向上を目指すとともに、国際的に活躍できる人材の育成に注力します。

7) 学会ホームページの充実とデジタル化の推進
学会の活動を広く発信し、より多くの医師が学術的に参加できる環境を提供します。また、オンライン教育やオンデマンド視聴の導入により、医師たちの学びを深める支援を行います。

内分泌外科はきわめて専門性が高い分野であり、私たちはそのニッチな領域に深くのめり込んでいくことに魅力を感じています。しかし、同時に大局的な視野を持ち、グローバルな視点で学会の未来に貢献していきたいと考えています。臨床と研究にはある程度自信を持っていますが、医療保険制度や専門医制度に関する見識が不足していることは自覚しており、経験豊富な理事の先生方や若い世代の意見を大切にし、最善の方策を講じていきたいと思っております。

まだまだ力不足ではございますが、学会の発展に向けて全力を尽くす所存です。皆様のご指導・ご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

日本医科大学 内分泌外科
杉谷 巌